知的オフィス環境とは

 近年、オフィスを取り巻く環境の変化は著しい。パソコンやインターネットの導入、電子会議や電子決済などによるペーパー レス化あるいは充実した機能性を持つオフィス家具などによる高い生産性の確保、そして、観葉植物や熱帯魚水槽などを配置し てアメニティーを高めた環境での豊かな創造性の実現など、企業のオフィス環境に求められるものは非常に大きくなってきた。

 こうした中で、冷暖房や照明など建物のインフラストラクチャーに属する要素は、これまで均一的な環境を実現することを目 標としており、仕事の内容や個人の好みに対応することはなかった。しかしながら、これからのオフィスでは仕事内容の個別化 や高度化に柔軟に適応し、そして働く人々の、さらなる創造性向上やストレス軽減などを目的とするオフィス環境の創造が必要 と思われる。

 このような観点から、オフィスで働く人々の利便性と快適性を高め、知的生産性と創造性を重視する個別分散・最適化環境空 間を実現させることが重要な課題となる。こうした空間は、仕事の内容のみならず、ひとりひとりの感性やメンタルヘルスなど の観点から適応的に最適化される必要があるため、“知的オフィス環境”とよぶことにする。この問題のソリューションは、 オフィスの環境インフラストラクチャーである照明システムと冷暖房システムの機能性を高めそれらをインテリジェント化し、 さらに他の電気・電子機器との連携により従来実現できなかった高度な機能的オフィス環境を作り出すことである。

設立趣旨

■ 会長挨拶  このたび、知的オフィス環境コンソーシアムと知的照明システム推進協議会は2013年4月1日付けで統合し、新たに「知的オフィス環境推進協議会」として発足することになりました。

 「知的オフィス環境コンソーシアムと知的照明システム推進協議会の統合の経緯」という文書で詳しく述べますが、知的照明システム推進協議会は、本来は知的オフィス環境コンソーシアムの研究部会として発足するのが合理的であったと思われます。しかし、設立の動機が異なっていたために、独立した組織となってしまいました。しかし、両団体の活動を進めるうちに、知的オフィス環境コンソーシアムの理事会と、知的照明システム推進協議会の運営委員会では、独立して活動するメリットよりも、統合して活動するメリットの方が大きいとの議論が進み、本年2月に両団体の統合が議決され、名称を「知的照明システム推進協議会」とすることに決まりました。

 新たに発足する知的オフィス環境推進協議会での活動は、執務者の知的創造性を高め、疲労とストレスを軽減し、大幅な省エネルギーを実現するオフィスの環境を知的化するための方法を考える勉強会、セミナー、見学会などの活動と、同志社大学方式の知的照明システムの開発・普及と、各企業が開発する知的な照明システムに関する情報交換と普及の基盤作りを推進する専門部会の活動から構成されます。  知的オフィス環境推進協議会に是非ご入会いただき、会員としてご支援・ご指導を賜りますよう、なにとぞ宜しくお願い申し上げます。

 なお、知的オフィス環境コンソーシアムと知的照明システム推進協議会の統合に関する経緯についてはこちらをご覧ください。

  ■ 理事長挨拶  IT革命により、人類はかつての空間+時間=4次元にCyber Space(インターネット空間)を加えた5次元に暮らすようになりました。IT革命を推進したアメリカでは、スティーブ・ジョブズは他界し、ビル・ゲイツも引退し、IT業界は既に世代交代が相次ぐ中で、我が国ではITを単なる利便性のあるツールとしか認識できない多くの中・高齢者がいまだに政治・経済・社会の主導的地位にあり、これがボトルネックとなって21世紀型のイノベーションを遅らせ、若い世代に閉塞感をもたらしています。

   オフィス空間も例外ではありません。多くの企業のオフィス管理が「総務部」の専管領域となっており、単にコスト削減の対象としか見做されず、大正時代から続く旧態依然とした「養鶏場」の様相を呈しております。今やオフィス空間こそはイノベーションを行う最前線であり、経営者自らがその設営に当たらねばならないほど重要な場であるにもかかわらずです。アメリカではSNSの普及により、若い世代のprivacyに関する考え方が劇的に変わり、以前のpartitionに囲われたオフィスに代わってfree addressと目的に応じた幾種類もの共通スペースを持つ機能性の高いオフィスに急速に変貌しつつあります。このままではチーム・ワークだけは誰にも負けないと、それを武器に維持してきた日本の競争力が劣位に陥るのも時間の問題です。

   三木教授の発明された知的照明システムはこの旧態依然とした日本のオフィスの中でも最も「古式豊か」であった照明分野に革命を起こしつつあります。この日本発の画期的な技術を空調などにも広く応用し、日本のオフィスを革新し、更に、出来るだけ早くグローバル・ビジネスとして確立する目的でこの協議会は再編・設立されました。参加企業の皆様のご協力により、この目的を1日も早く達成いたしたいと祈念いたします。